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2019年3月29日 (金)

『仲代達也と能登演劇堂』

 10年程前の秋に、七尾市にある能登演劇堂で仲代達也主演の「マクベス」を観劇した。仲代は毎年の芝居の初演はこの演劇堂と決めている。じっくり演劇堂で練習を繰返し初演に臨み、全国ツアーに出かけていくと聞く。それは今は亡き妻、演出家で女優でもあった宮崎恭子と共に七尾市の絶大な協力を得て、自分たちの理想とする演劇場をプロデュースした事にある。この演劇堂の特徴は、日本で唯一の開閉式舞台後壁となっている事で、野外舞台が設営できるのである。

 知人のプリンスM美容室経営者の同級生が、麻布中で仲代達也と同級生に嫁いだという縁で、観劇のお誘いがあり即答で参加させてもらった。一応、同級生の仲間たちという触れ込みであった。

 演目はシェークスピアの「マクベス」で、舞台と野外の景色がこの演劇堂の理想的な演出効果を醸し出していた。客席から見る開いた舞台後壁の背面には、段々畑や道路、山まで取り込んでいる。

 午後3時30分から始まった演劇は、夕方の薄暗くなった頃を見計らって後壁が開き、遠くの畑で白煙が立ち上がり、今起こった戦闘を伺わせる。その中を武装した騎馬隊が舞台に向かって走ってくる。その主役が仲代の演じる「マクベス」だ。騎馬隊の走った土埃までもが舞台に取り込まれるような演出で、この演劇堂を創った人達の情熱が伝わってきた。素晴らしい演劇堂である。能登方面に行かれたら立ち寄られる事をお勧めしたい。

 最近、NHKラジオに出演し、1ヶ月間の英国旅行の話をされた。目的はシェークスピア劇の鑑賞三昧と聞く。86歳の仲代には演劇の事しか頭に無いらしい。素晴らしい事だ。見習いたい。(勉)

   「能登演劇堂」

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