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2019年9月12日 (木)

『中秋の名月』

 9月13日は、中秋の名月。子供の頃、相撲や綱引きなどの秋の楽しい行事満載の「十五夜さん」だった。母は、月の見える縁側に、ススキ、ハギ、クリなどを一升瓶に飾り、白い団子にサトイモ等の季節の野菜や果物を竹箕に入れて供えていた。

 子供達は十五夜祭りに合わせて、青年団の兄さん達の指導を受けて準備する。まず、綱引きの綱を綯うため、中心にいれるカンネンカズラを山に取りに行く。山奥にあるのを取り出すのに力がいるので、もっぱら青年団の兄さん達の仕事であった。小さい子供達は、切り出したカズラを引っ張り出す仕事で、初めての手伝いがとても楽しく、少しだけ兄さんたちに近づいた気がした。

 次は、溝に浸けておいたカズラと藁を一緒に綯う仕事である。道路脇の大きな木の枝に吊るして綯っていき、直径20cmから30cmの綱が出来る。延長は50m位あったような気がする。完成するとすごい重量で、このときばかりは、大人も加勢して全員で運んだ。

 一方、相撲の土俵は道路沿いの広場に造られた。近くの山からシラスをリヤカーで運ぶのである。集落中のリヤカーを集めて作業するので、当日の朝から始めて祭り前にはちゃんと完成していた。

 夕方、まだ明るい頃からまず相撲が始まる。小学生の学年別に相撲を取る。いつも顔ぶれは同じだった。人数が少なかったので、女の子達も相撲を取っていた。景品は文房具で勝っても負けても鉛筆かノートだった。でも、勝って貰うのが嬉しかった。

相撲が終わる頃、桜島の山頂から落ちるのでないかと思う程の大きな月が昇ってくる。

昼のような明るさだった。当時は、街灯も少なく家は電球の明るさだけで、暗かったのでしょうね。

 クライマックスは、紅白に分かれて集落全員での綱引きである。重いあの綱を全員で所定の位置に配置し、準備完了。集落の長の合図で綱引きが始まる。三本勝負が普通だったが、途中で綱が切れたら、そこで終わり。そして、万歳!万歳!で締めくくる。

 その頃から半世紀以上経過したが、楽しかった初秋の思い出である。あの大きかった月は今でも本当に大きかったのではと、内心思う事があるが・・・。(勉)

 

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