『K氏と津軽三味線』
青森で一晩に1m以上もの降雪に出会った事がある。それは、元同僚であるK氏の「津軽三味線を聞きに行こう。」に始まった。雪が降り始めた盛岡から高速道路でかけつけた時のことである。降り始めといっても、うっすら雪は積もっていた。鹿児島では、多分通行止めかなと思う。高速道路は、どの車も制限速度ぎりぎりで何事も無い様に普通に走っているのにビックリ。K氏曰く、「東北は装備(タイヤ)が違うのだよ。」と、教えてくれるが、いつスリップするか不安で、スピードを落としてとお願いするが、「大丈夫だよ。」それより流れに乗って走ったほうが良いと取り合ってくれなかった。30分もたつとあまり恐怖心は無くなってきたが。
青森は、K氏が若かりし頃、転勤で居住していた懐かしい場所であった。その中でも、津軽三味線の民謡酒場「甚太古」が贔屓で、私を連れて行くというのである。店は姉妹でやっており、お姉さんが三味線、妹さんが唄を歌いとても素晴らしい演奏との前宣伝であった。津軽三味線の名人、高橋竹山の一番弟子だったと聞いた。
夕方「甚太古」に到着したが、当日は、三味線のお姉さんが知人の棟上げ式に呼ばれ遅くなるらしいとの事であった。客は3人で、私どものほか1人は奇遇にも鹿児島からのお客さんでビックリした事を思い出す。帰って来られるまで待つ事になった。
ほろ酔い機嫌で帰って来られたお姉さんが、私達が待っていた事をとても喜んで、何曲も何曲も津軽民謡を弾いてくれた。翌日、目覚めると1mもの雪が待っていた。
二年前、再訪し当時を懐かしんだが、昨年末に高齢のため店を閉めたと報道で知った。
残念!!
そのK氏も28日、七回忌を迎えた。懐かしくあのひと時を思い出す。合掌。(勉)
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