「煙は香となって・・・」
初めて香りのおもてなしを頂戴したのは、仕事でお伺いした京都のお客様のお宅だった。その頃、ちょうど香水の魅力にめざめていたのだが、また異なるさりげなく奥ゆかしくほのかに漂う香りにすっかり虜になった。匂い袋をバッグに忍ばせ、お線香に空薫、衣類には防虫香とお香づくしになった。ところが、1回も袖を通していないみるく色のジャケットがほのかな香りと共に着色までされてしまい、防虫は中止。それでも聞香はやめられない。
あの京都のお宅のあこがれの伽羅の香りにはいまだにめぐりあえないけれども。(由)