「夢のような時」
子供の頃、我が家にあったのは母の好みで「イベット・ジロー」のレコード。その頃、私の音楽の情報源はもっぱらラジオで、ポップスがご贔屓だった。
コンサートの感動を知ってからは、ジャンルは問わずに聴きにいく。最近、「川畠 成道」さんのヴァイオリンに出会った。こんなにも、やさしく魂にふれてくるような音がでるのかと不思議だった。才能はもちろん、その人となりの心のやさしさが音になって聴く人の心に響いてきて清らかになってくるようだ。本当に夢のような時をプレゼントしてもらえる。
8歳の時、風邪薬でスティーブンス・ジョンソン・シンドロームという皮膚と粘膜が爛れた揚句にぼろぼろになる病気になり、命はとりとめたものの重度の視覚障害が残り、音楽の道へ進んだという。晩秋の静かな夜に「「アヴェ・マリア」を聴こう。(由)