「いい香り・・・」
つい最近まで街中が金木犀の馥郁とした優しい香りに包まれていた。いつもは、目立たない庭木としてひっそりと佇んでいるが、こんなにもたくさん植えられていたのかと驚くほどの香りがあちこちから漂ってきていた。沈丁花、梔子とともに三香木、モチノキ、モッコクとともに庭の三名木とよばれていて、空気が汚れている場所では花がつきにくいと聞いた。季節のうつろい、自然の不思議を真っ先に感じさせてくれる。
そしてなによりも今はもう閉じてしまったご贔屓の中華料理店の芳しくて美味しくて元気にしてくれた金木犀入りの葛のかかった白玉団子への思い、至福の時をもう一度と願わずにはいられない。(由)