「ガラスの恵み。」
今まで花卉にご縁のなかった知人が一生懸命にカトレアを育てている。
昨年同僚の愛好家から頂戴した株にみごとな赤い花が咲き、その気高さと高貴な香りに虜になっている。かつて大英帝国の蘭の狩人達が蘭の女王を求めて世界中を駆け巡って探しまわり、産業革命の恩恵たるガラスの温室のお陰で寒い地域で熱帯の花をみごとに咲かせた。王侯貴族の宮殿を南国への憧れの象徴として飾ったことだろう。
とても手の届かない存在だったカトレアが、今ではごく身近にある。これも近代の豊かさの賜物だろうか。憧れのものは、遠くに在るほうが楽しいような・・・
(由)