「おいしいものは。」
自然の恵みとあらば何でも感謝して食べる。いまの時季は、なんといっても新米だ。ちょっと焦げ目を付けて炊いた暖かいごはんとお味噌汁もしくはお味噌かお漬物で十分ご馳走の食卓である。
小さい頃から、お釜のご飯をひっくり返しておこげをよそおい、お漬物を鉢一杯食べて胃痛をおこしたこともある。魚は、身より頭や目玉とあらを好んだ。猫もまたいで通るといわれるほど何も残らない。子供の頃たっぷり食べたものは、食傷するというのに、今でも飽きない。友人宅では魚の頭をみると、美味という私の顔が反射的に浮んでくるそうである。(由)