「故あって松」
お正月の松がなかなか捨てられない。寒さのなか、まっすぐな針状の緑の葉、凛とした様を見ると私の背ものび、冬にふさわしい樹だとみとれてしまう。松は植える場所を選ぶというのに、田舎の我が家の南向きの一番いい場所にもあった。観賞用ではなく実用的、大変美味しくて体によいという松葉サイダーつくりのためだった。成長著しく大木になり、造園屋さんに処分をお願いする始末だった。お城にはよく松が植えられている。松明(たいまつ)というほど可燃性の樹脂をふんだんに含み燃えやすいのに危険と考えなかったのだろうか。それとも実や皮を非常時用の食料とした故か。(由)