「柔らかすぎずほっこりの傑作」
朝、お楽しみの焼き芋が消えていた。僕が食べたと父の声。焼き芋なんて食べないはずの父が、夜遅くアルコール漬で帰宅、何故か全部ご馳走様。鍋を犠牲にして創りあげた、ほっこりとしてほどよく甘く、香りたつ傑作だった。焚き火でつくったものよりも美味しかったのは、使えなくなった高価なおなべのせいだったろうか。父のお陰で叱られずにすんだが、それ以後鍋使用禁止になった小学生の頃の思い出。たかが焼き芋、でも素材そのものが加熱のみで美味しく変身するすぐれもの。おつきあいは、いつまでもいくつになっても続く。(由)