「野菊に出会った城」
シェイクスピアは好きですか?
恩師が聞かせてくれたのは、シェイクスピアが活躍した16世紀頃の古語を再現した作品だった。躍動感あふれる台詞からは、数百年の時を超えて当時の雰囲気が伝わりぞくぞくした。
数年後、縁あって辿り着いたハムレットの舞台、デンマークのクロンボー城は夏でも寒々しく人を寄せ付けない感じだったが、一叢の野菊(?)にほっと救われた心地がした。
イギリスの田舎の裕福なお坊ちゃまが一転、13歳の折に家業没落、18歳で8歳年上の女性と結婚、21歳で3児の父親、俳優兼座付作家として無学ながら実際の旅をすることなくあらゆる都市を舞台に悲劇、喜劇、史劇とさまざまなジャンル、数々の名言がちりばめられた作品群の数々をものしたなんて本当に小説の世界だ。
文体も筆跡も多種多様で複数の手によるとも、又、空白の時代もあったり、2分割できる姓と謎の多い生涯そのものが面白い。冬は何故かシェイクスピアに回帰中。(由)