「早い&速い」
母は朝が早く、料理も速かった。七種は、早朝から丸餅入りの七種雑炊(ずせ)を作ってくれていた。皆が食卓につく頃は、すでに温めで、緑は茶色に変化気味、なによりもお餅の芯が固かった。気の忙しい母らしい七種雑炊だった。我が家では、餅はいつも父が気長に焼いてくれるものだったから、母の手になると焦げるか芯があった。お祝いにご近所や親戚の人が持ってきてくれた七種雑炊のなかにも同じようなものがあった。子供心に母と同類の人がいると感じてほっとした。
お餅は火鉢の炭で焼いてあつあつを食べるのが一番。(由)