「笑みがこぼれそう」
沈丁花のブーケが微笑んでいます。強烈な芳香。父が好んだ香りです。我が家に沈丁花、金木犀と香りのある樹を抱えてきたのは父でした。土を触るのは好まなかったのに、いそいそと自分で植えていました。寡黙で花のことなど少しも話題にしたことがなかったのにうれしそうでした。原産地は中国南部で、ヒマラヤ山麓には原種の群落があり、美しい青色の紙を漉き、経典にしたという。大隅の山中で自生しているのに出会ったことがあった。果実は有毒というのに、遠い異国から渡り鳥に連れられてやってきたものだろうか。(由)