『ベランダのメジロ』
毎年この時季に、メジロが会社のベランダにあるジュズサンゴの実を食べにやってくる。今年は、実のつきが悪くアッという間に食べ尽くした。ジュズサンゴは沢山の小さい赤い実をつけてとても鮮やかである。メジロは美味しそうに啄ばむが、人間には毒があるらしい。
食べ物が無くなっても毎朝やって来るので、ミカンを竹で挿してジュズサンゴの鉢付近にいくつか置いてみた。暫くすると案の定メジロがどこからともなく現れた。落ち着かない様子で、ミカンを啄ばむ。しかも他のメジロは追い払いミカンを全部一人占めしている。
メジロは渡り鳥で、保護されているので捕獲して飼うことはできないが、餌付けするのは良いらしい。小学生の頃、裏山にメジロ取りに行った事がある。当時、保護鳥だったかも知らず、近所のお兄さんに誘われた。囮のメジロで引寄せ、鳥もちを貼った木の枝を鳥かごの近くに置き、それにメジロが載ると捕獲できる。そして、すばやく鳥もちから外さないと、羽などが絡みつき飛べなくなる。
沢山のメジロを捕獲できるが、全て持ち帰る訳ではない。メジロの鳴き声には「チー」、「ツリー」、「チョーチ」の三通りがあって、「チー」より「チョーチ」の方が、珍重されていたらしいが、子供達は専ら「チー」しか貰えなかった。時々「ツリー」が捕れたが、近所のお兄さんの物だった。「チョーチ」は聞いた事も無く、捕れなかったので、いまだにいるのか疑問である。
「チー」を貰って自宅で飼うが、自分の事もまだ出来ないのに、鳥の世話が出来るはずもなかった。昼は外に鳥籠を出し、夜は家屋の中に入れないと寒さで死んでしまう。時々取り入れを忘れたりすると、大変な事になる。気がつくのは大抵、朝。鳥籠が定位置に無い時である。案の定、鳥籠は外で鳥の姿は見えない。底に硬くなって横たわっているのである。
後始末は母がしてくれたのに、管理できない自分を棚に上げて、八つ当たりをしたような。
今思えば、勉強する訳でもなく、自然の中を駆け回ったり、テレビやマンガに全部使った楽しい自分時間だったのですね。(勉)
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