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2020年2月22日 (土)

『生涯一役者、仲代達矢』

 今月の市民劇場は、一昨年以来の仲代達矢主演の舞台となった。昨年暮れのNHKラジオ出演の折、「ペテン師タルチュフ」の九州公演が2月にあると聞いて心待ちにしていた。仲代は88歳の米寿を迎えた。現役役者では最高齢になろうとしている一人だが、軽やかなあの身のこなしや長い台詞には、やっぱり主役が張れる役者だと感動するしかない。舞台の主役は膨大な台詞を覚える必要があり、しかもやり直しが効かない。    

 歳を重ねるにつけ、覚えるのが難しくなるのは、私たちと一緒であると思うが、それに挑戦する姿が素晴らしい。台詞は相手方の分も含めて、全て自ら短冊に筆書きし、稽古場の壁や自宅の居間や寝室に貼りまくって、寝ても、覚めても台詞を口に出して覚えるという。役者は年齢は関係ない、いかに台詞を覚えて、芝居をするかだと。少しでも無理だと考えた時点で台詞も覚えられなくなるのだろうし、舞台は努められない。仲代は台詞覚えが好きなのだろうか。

 90になっても現役の役者でありたいと言っている。いつ観ても若い仲代達矢は、ここに原点があるのだろう。生涯一役者を貫く心意気は素晴らしい。感動しかない。私も見習いたい。(勉)

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