「もう、ふきのとう?」
大寒の頃になると、母が貴重なふきのとうの春一番を送ってくれた。小さなものを1個か2個である。はしりのものが好きな母は、小正月が過ぎると、ふきのとう探しを始めるらしかった。毎年同じ会話、「もう、ふきのとう?」。遅れて紀元節の頃、仲間とふきのとう探しにあちこちと出かけた。旅行先から、たくさん摘んできてくれた友人もいた。その友人は、食べるのみで調理をしない。蕾だけではなくりっぱな花のおまけつきだった。あの香りと苦味が好きな私は、細かく刻んで湯通し、ぎゅっと絞って鰹節と生醤油を数滴で食べる。佃煮にするとほんの少しになってしまうのが残念。冬眠から目覚めた熊は、最初にふきのとうを食べて味覚を刺激すると聞く。私のご先祖様は熊族?(由)