「わくわくの収穫」
かつて恩師と共に、あちこちと田舎に散歩に行った。今の時季は自然の恵みがたっぷりと準備されていた。銀杏、山葡萄、むべ、そして楚々とした秋の草花達。私の田舎に行った折、母も傘を持って参加。使用目的は零余子(むかご)用。逆さに持ち、蔓をひっぱり揺らす。あっというまに沢山の収穫。一番はしゃいでいたのは、子供に返った恩師と母。ところが、喜んで齧った恩師の苦いとの声。何故?ニガガシュウが紛れ込んでいた。丸いハート形の葉、ぶつぶつのいびつな零余子。山芋仲間の鬼っ子だ。食べられない。本物を塩茹でとバター炒めでお口直し。秋の夜長のお酒にぴったりと恩師がにっこり。今でも零余子をみるとあの笑顔を思いだす。(由)