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2008年10月

2008年10月31日 (金)

「をかしきもの」

「枕草子」を教わって一番気に入ったことばが「をかし」だった。好きな言葉は、本来の深い意味がわからなくてもすぐに使ってみたくなる。学校からの帰り道、友達と道すがら目につくものに適当に「をかし」をくっつけての言葉遊びをして、笑いあいながら歩いた。私達があまりに笑いさざめくので、先を歩いていた山高帽氏がくるりと振り返って、私はなにかおかしいですか、と質問されてしまった。ロマンスグレイの粋な中年紳士には私達の「をかし」が通じなかったようだ。もしかすると、未熟な言葉遣いだったのかもしれない。

「雁などの列ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし」の頃になると思い出す。(由)

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2008年10月30日 (木)

「私の松茸は」

紅葉の頃、糸魚川沿いにのんびりと列車旅行をした。鹿児島では、お目にかかれないような全山紅葉や、みごとな黄葉に歓声の連続だった。汽車の中で出会った大きな籠を背負ったお爺さんが、そんなに紅葉が珍しいならもっといいものを、と籠の中からプレゼントしてくれたのが松茸だった。周囲の乗客の羨望のまなざしの中、かなり大きいのを3本も頂いた。その夜、年配の知人宅に宿泊。食事を楽しみにしていたら、あれは毒茸かもしれないから捨てました。

最近毒茸の中毒をよく聞く。私の幻の松茸は、いったい何者だったのかしら。(由)

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2008年10月29日 (水)

「ロータスエランって」

車に関しては音痴、というよりも無知である。ロータスエラン、今でも気になっている車だ。伊丹十三さんの「女たちよ!」と「ヨーロッパ退屈日記」、この2冊は、かつてすっかりはまってしまい、知人達に薦めまわった思い出の本だ。大人よりも、中・高校生に読んで欲しいと裏表紙に書いてあったのを、年齢オーヴァーだけど、と思いながら読んだ。料理、映画、ファッション、音楽、旅・・・と、今までにない新しく楽しくときめく素敵なことを洒脱な言葉でたくさんおそわった。

その中に、ロータスエランがでてくる。英国映画の大役を手にした伊丹十三さんが購入した車。夢にまでみた車を購入後、路上に置きっぱなしにし、適度に汚れるの待って、乗り始めたという。その美学をつらぬいたのはいったいどんな車?(由)

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2008年10月28日 (火)

「レット・イット・ビー」

気がつくと聴いている。

ビートルズ解散前の最後のオリジナル・シングル。メンバーの心がばらばらになり、どうなるのか、どうすればいいのか、どこに向かっていけばいいのか、孤独な心境で、ポール・マッカートニーがピアノを弾きながら歌う。青春の日々への感傷なんてものではない。今の心の魂に響く。なすがままに・・・と、心のままに、今を生きなさい。そうすればきっとみえてくる、答えが。きっと大丈夫、きっとうまくいく。心の内側からこぼれ出てくる呪文。曲に身をゆだねていると静かに本当に静かに心が癒されてくる。(由)

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2008年10月27日 (月)

「瑠璃の想い」

ルリカケスを知ったのはそう古いことではない。鳥には関心がなかったのだが、瑠璃色のあまりの鮮やかさにすっかり見とれてしまった。つややかな美しい瑠璃色に赤茶の胴。なんてお洒落な自然の妙なる色使い。奄美大島にしか生息していないという。その美しさで、種の貯蔵をし、ハブの卵を食べ、サツマイモも掘り起こして食べる害虫という。

最近もうひとつおいしいルリカケスも見つけた。徳之島でできるラム酒だ。ラム酒は遠い国からやって来るものと思っていたので、国産、しかも近くの島でできると知って、感動してしまった。さとうきびをオーク樽で熟成させるとこんなにもほんのりと柔らかく素敵に変身するなんて、またまた感動する。徳之島にはルリカケス鳥がいないのはちょっと残念だけれども、美味しいルリカケスがある。

旅立った瑠璃の名前の友達を想いながら琥珀色で乾杯。(由)

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2008年10月25日 (土)

「凛々しさは」

早朝、ねんりんピックの参加者達と出会った。遠目には、スポーツウエァーの際立った若者達としか思えなかった。すれ違ってから、今日が開会式と思い当たった。きりりとして颯爽と歩くさまは、凛々しい。凛々しさは若人のものかと思っていたが、身体を鍛え年輪を経ると、一段と輝いてみえるものかもしれない。たとえ見得を張って強がっていたとしても、パワフルな人は皆に元気をプレゼントしてくれる。

風に乗り運ばれてくる賑やかで楽しそうな遠い音は、一生懸命競技に励む人、応援をしているその仲間達の姿を想い浮かばせてくれる。まるで関係ない私にも、幸福のお裾分けを届けてくれる。

きっと凛々しさは一段と増したに違いない。(由)

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2008年10月24日 (金)

「落花生はいかが」

落花生が好きなのは父譲りだ。買物を好まなかった父が、おきまりの店で必ずおきまりの殻付き煎り落花生を自分で求めてきていた。背広姿で、こだわりの品をうれしそうに買ってくる姿が謹厳実直の父に似合わず、ちょっと可笑しかった。家族は、こと落花生に関しては、口出しをしないようにしていた。父が他界して買ってきてくれる人がいなくなった。

ところが、生の殻付落花生に出会って虜になってしまった。短い季節のものだ。初秋に出始めるのと、うれしくてまとめ買いをして「落花生はいかが」と配らずにはいられない。塩味で殻ごと少々固めに茹でて、最後に強火で煎り上げるのが私流。食べ始めると止まらなくなってしまうのが難点。

父はどちらに軍配をあげるだろうか。(由)

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2008年10月23日 (木)

「喜びの日には1本」

お誕生日にはいつもケーキを準備します。もちろん、ろうそくのお供つきです。喜びの日には、ろうそくの灯りの醸し出すほんわりとした雰囲気が心地よくて楽しみなのです。

ところが、年を重ねるごとに、ろうそくの本数を間違えたり、ケーキがろうそくで埋まったり、灯したり、ひと息で吹き消すのが難しくなってきました。大小のろうそくを組み合わせても追いつかない年齢もあります。

そんな折、誰でも誕生日には1歳増えるのだから、ろうそくは1本とのことばに出会いました。本当にそうだと納得。今からは1本です。いつもの一番贔屓の雑誌に教わりました。(由)

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2008年10月22日 (水)

「夢のような時」

子供の頃、我が家にあったのは母の好みで「イベット・ジロー」のレコード。その頃、私の音楽の情報源はもっぱらラジオで、ポップスがご贔屓だった。

コンサートの感動を知ってからは、ジャンルは問わずに聴きにいく。最近、「川畠 成道」さんのヴァイオリンに出会った。こんなにも、やさしく魂にふれてくるような音がでるのかと不思議だった。才能はもちろん、その人となりの心のやさしさが音になって聴く人の心に響いてきて清らかになってくるようだ。本当に夢のような時をプレゼントしてもらえる。

8歳の時、風邪薬でスティーブンス・ジョンソン・シンドロームという皮膚と粘膜が爛れた揚句にぼろぼろになる病気になり、命はとりとめたものの重度の視覚障害が残り、音楽の道へ進んだという。晩秋の静かな夜に「「アヴェ・マリア」を聴こう。(由)

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2008年10月21日 (火)

「やさしくコスモス」

秋桜前線は桜前線と反対方向から秋を連れて来る。風に揺れる様は、心をやさしく自然にとけ込ませてくれる。メキシコ原産で明治にやってきたと聞くが、花といえば桜をさした日本で、秋桜の名前をつけられるぐらいにすっかりとけ込んでいる

清楚な面影に似合わず逞しい面も持ち合わせている。折れたところから根をはり、しっかりと復活をする。土に恵まれると、背丈よりも大きくなり、逞しく太い幹とご対面ということになる。かつて肥沃な大地一面のコスモス畑にいった折、花を愛でる雰囲気どころではなく、その力強さに取り囲まれて圧倒され、そそくさと退散したことがあった。

今になって思うと、やさしさは逞しさあってのことなのかもしれない。

花もさることながら、本当はあの不思議な形の葉がとても気に入っている。(由)

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